Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

通常の鎮痛薬を使用している運動器痛患者の緊張型頭痛に対する葛根湯の急性期治療薬としての有効性

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【目的】緊張型頭痛(TTH)は、一次性頭痛疾患の中で最も多いタイプである。その急性期の薬物療法は、日本頭痛診療ガイドライン2021に基づき、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬である。しかし、日本の高齢化に伴い、鎮痛剤で治療していたTTHの患者さんが併存するケースも増えてきている。このような状況の中、TTHに対する急性期の薬物療法を選択することが困難な場合がある。TTHに対して経験的に使用されているのが、葛根湯である。そこで、我々は葛根湯が疼痛を伴うTTHに対して有効であると考え、葛根湯の有効性を検討した。

【材料と方法】併存疾患のためにすでに鎮痛剤を服用している連続したTTH患者10例を前向きに収集した。葛根湯2.5gを処方し、患者はこれを服用した。葛根湯服用前と服用2時間後の痛みについて、Numerical Rating Scaleを用いて評価した。

【結果】女性8例、男性2例が対象となった。平均年齢は71.0±13.4歳であった。4例が腰痛、2例が腰部脊柱管狭窄症、2例が膝痛、1例が首痛、1例が肩筋膜炎であった。日常的に使用する鎮痛薬として、4例にセレコキシブ、3例にアセトアミノフェン、2例にロキソプロフェン、1例にトラマドールとアセトアミノフェンの併用が使用された。Numerical Rating Scaleの中央値は4から0に統計的に改善した。葛根湯の副作用はなかった。

【結論】葛根湯は、鎮痛剤で治療されている併存疾患を有するTTHに対する急性期薬として有効性を示した。

PMID: 36725011