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漢方薬の代替医療からの脱出

軽度認知障害および軽度アルツハイマー病患者における人参養栄湯によるフレイル改善効果:非盲検探索研究(FRAMINGO)

doi.org

【背景】アルツハイマー病(AD)および認知症は、複数の同時かつ相互作用する病態生理学的プロセスによって決定される「老化の複合疾患」であると考えられるようになってきている。フレイルと呼ばれる状態は老化の表現型であり、その包括的な病態生理は軽度認知障害(MCI)の発症や認知症の悪化と密接に関係していると考えられている。

【目的】本研究は、MCIおよび軽度AD患者を対象に、多成分配合薬である人参養栄湯のフレイルに対する効果を検討することを目的とした。

【方法】本試験は非盲検試験である。MCI患者9例と軽度AD患者5例を含む計14例が登録された。そのうち、11例がフレイルで、3例がプレフレイルであった。人参養栄湯(6-9g/日)を24週間経口投与し、ベースライン時(0週目)、4、8、16、24週目に評価を実施した。

【結果】主要評価項目において、人参養栄湯投与4週間後にNeuropsychiatric Inventoryによる食欲不振スコアの有意な早期改善が観察された。Cardiovascular Health Studyスコアも有意に改善され、24週後にもフレイルは認められなかった。また、疲労度ビジュアルアナログスケールスコアも有意に改善された。臨床認知症評価およびモントリオール認知機能評価スコアは、人参養栄湯の治療期間中、ベースラインレベルを維持した。

【結論】本結果は、人参養栄湯がMCIおよび軽度AD患者のフレイル、特に食欲不振や疲労感に対して有効である可能性を示唆し、認知症の予後にも有益であると考えられる

PMID: 36891253 PMCID: PMC9986705