Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

治療抵抗性統合失調症患者に抑肝散を12週間投与した多施設共同二重盲検無作為化比較試験

DOI: 10.1002/pcn5.155

【目的】統合失調症患者を対象に、抑肝散の有効性と安全性を検討するため、12週間の二重盲検プラセボ対照多施設共同試験を実施した。

【方法】抗精神病薬に抵抗性を示し、PANSS(陽性・陰性症候群尺度)得点が5点以内で安定している統合失調症患者を登録し、抑肝散群とプラセボ群に割り付けた。61例の同意患者のうち53例が抑肝散群(n=27)とプラセボ群(n=26)に割り付けられた。

【結果】12週時点のPANSS総得点および陽性得点の変化は、抑肝散群でプラセボ群より有意に大きかった。その他の精神症状評価得点については両群とも有意な変化はみられなかった。副作用は、抑肝散群で27例中6例(22.2%)、プラセボ群で26例中5例(19.2%)に認められ、いずれも重篤なものではなかった。

【結論】抑肝散は非常に安全であり、西洋医学との併用で統合失調症の治療薬として臨床的可能性がある。