Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

牛車腎気丸はドセタキセル服用乳がん患者の神経障害を防止する

 

dx.doi.org

【背景】牛車腎気丸は種々の神経症状の治療に用いられている。我々は、乳がん患者で、ドセタキセルが関係する神経毒性に対する、牛車腎気丸とメコバラミン(B12)の有効性を調べた。

【方法】60例の乳がん患者にドセタキセルを投与した。33例(牛車腎気丸群)には、牛車腎気丸を7.5g/日、27例(B12群)には、B12を1500μg/日投与した。神経障害はDEB-NTC(Debiopharm社 神経症状-感覚性毒性基準)、NCI-CTC(有害事象共通用語規準)ver. 3.0、VASにて評価した。本研究は、無作為化非盲検を採用した。

【結果】神経毒性の発症は、牛車腎気丸投与群では39.3%、B12投与群では88.9%であった(p<0.01)。牛車腎気丸投与群では、DEB-NTCのgrade1(末梢神経症状の発現、ただし7日未満で消失)が2例、grade2(7日以上持続する神経症状。ただし、機能障害はない)が5例、grade3(機能障害の発現)が5例で観察された。NCI-CTCでは、grade1(軽度の有害事象)が7例で、grade2(中等度の有害事象)が6例で観察され、VASは2.7±2.2であった。B12群では、DEB-NTCのgrades1、grades2、grades3がそれぞれ1例、12例、12例で観察された。

【結論】牛車腎気丸の併用投与は、ドセタキル療法で治療した乳がん患者の神経障害防止に有用である。

Impact Factor: 2.514 PMID: 24377531