Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

妊娠初期における麻黄を含む漢方薬の使用に関連する先天奇形の危険性

doi.org

【背景】麻黄を含む漢方薬は、妊娠中の風邪の治療に用いられることがある。麻黄の成分であるエフェドリンには催奇形性のリスクがあるという報告があるが、その根拠はまだ曖昧である。

【目的】本研究は、東北メディカル・メガバンク・プロジェクト出生・三世代コホート研究(TMM BirThree Cohort Study)を用いて、妊娠初期における麻黄を含む漢方薬への曝露に関連する先天奇形(MCM)のリスクを評価することを目的とした。

【方法】2013年7月から2017年3月までにTMM BirThreeコホート研究に参加した23,730組の母子を対象に、妊娠初期と妊娠中期の質問票をそれぞれ妊娠12週と26週頃に配布した。妊娠初期に麻黄含む漢方薬またはアセトアミノフェンを使用した女性における乳児のMCMリスクを評価し、オッズ比(OR)を未調整および調整解析で推定した。

【結果】20,879例の女性のうち、妊娠第1期にアセトアミノフェンを使用した女性は665例(3.19%)、エフェドラを含む漢方薬を使用した女性は376例(1.80%)であった。妊娠第1期にアセトアミノフェンまたは麻黄含有漢方薬を使用した母親から出生した乳児のうち、総合MCMを有していたのはそれぞれ11例(1.65%)、8例(2.13%)であった。麻黄を含む漢方薬を妊娠第1期に使用した女性では、アセトアミノフェンを使用した女性よりもMCM全体のORが高かったが(調整OR、1.45;95%信頼区間(CI)、0.57-3.71)、その差は統計学的に有意ではなかった。

【結論】本研究では、妊娠初期における麻黄を含む漢方薬の使用とMCMリスクとの間に統計学的に有意な関連は認められなかった。ORの点推定値は1.00を超えるものもあったが、リスク増加の絶対的な大きさは小さいであろう。

PMID: 38240961 Impact Factor: 2.0