Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

関節滲出液を伴う変形性膝関節症に対する防已黄耆湯の効果

 

dx.doi.org

【背景】防已黄耆湯は炎症反応を阻害するシノメニンを含有している。シノメニンは防已黄耆湯の主要成分であるので、防已黄耆湯は関節滲出液を伴う変形性膝関節症に有効である可能性がある。しかしながら、防已黄耆湯の変形性膝関節症に対する有効性の報告はなされていない。本研究の目的は、関節滲出液を伴う変形性膝関節症に対する防已黄耆湯の治療効果をRCTで検討することである。

【方法】試験は関節滲出液を伴う初期の変形性膝関節症と診断された50例の患者で行われた。患者は無作為に2つの群に分けられた。ひとつの群(25例)はロキソプロフェンと防已黄耆湯を用いる群、もうひとつの群(25例)はロキソプロフェンだけを用いる群であり、12週間の観察期間で評価した。評価項目は、膝関節学会評価システムの膝関節スコア(膝関節スコアおよび機能スコア)、関節穿刺による関節滲出液量、QOL評価のSF-36である。

【結果】膝関節学会評価システムの膝関節スコアは両群で改善した。膝関節学会評価システムの機能スコアである階段昇降能力は、ロキソプロフェン単独群に比較し、防已黄耆湯、ロキソプロフェン併用群において有意に改善した。SF-36での評価では、両群とも、12週間後の身体機能において有意なスコアの改善が認められた。関節滲出液量は、防已黄耆湯、ロキソプロフェン併用群において投与前の値に比較し、4、8、12週間目において有意に減少した。防已黄耆湯の副作用として、1例に口渇が認められたが、症状は軽く、服薬の中止ですみやかに改善した。

【結論】本結果は、防已黄耆湯は、関節滲出液を伴う変形性膝関節症の治療手段になる可能性があることを示している。

Cite Score: 2.330 PMID: 22230247 PMCID: PMC3275496