Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

ヒトへの大建中湯単回経口投与後の唾液中サブスタンスPレベルの有意な増加

 

DOI: 10.1016/j.biomag.2012.07.009

www.sciencedirect.com

大建中湯は、腸閉塞を含む腹部障害や腹部の冷えの治療に用いられてきた。消化管運動に対する大建中湯の作用は、ヒト血漿中のある種の神経ペプチドの変化に密接に関係していると報告されている。この研究では、我々は、ヒトにおいて、サブスタンスP(SP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、および免疫反応性物質様血管活性腸管ポリペプチド(VIP-IS)の唾液中濃度に対する大建中湯の作用を評価した。5名の健常人ボランティアにおいて、非盲検交差試験を実施した。大建中湯またはプラセボの単回経口投与前と、投与20-240分後に唾液量を測定するとともに、唾液サンプルを採取した。唾液量は、大建中湯投与後20-12分後に、プラセボと比較して、約1.2-1.5倍に増加したが、この増加は統計的には有意ではなかった。大建中湯の単回経口投与は、唾液中SP-ISレベルを有意に増加させ、唾液中SP-ISレベルと唾液量との間には有意な相関関係が見られた。大建中湯投与は、プラセボと比較して、CGRPやVIP-ISの唾液中レベルは変化させなかった。これらの結果は、大建中湯による唾液分泌の増加と、SPとの密接な関係を示している。大建中湯は、口腔乾燥症を合併している患者に、特に有用かもしれない。