Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

季節性インフルエンザの治療における漢方薬とノイラミニダーゼ阻害剤の無作為化比較試験

DOI: 10.1007/s10156-012-0378-7

www.sciencedirect.com

日本において麻黄湯は、インフルエンザ患者に伝統的に処方されている。インフルエンザ治療における麻黄湯の有効性をよく理解するために、オセルタミビルやザナミビルとの無作為化比較試験を行なった。発熱後48時間以内にインフルエンザ迅速検査キットで陽性の、発熱を含むインフルエンザ症状の成人患者を試験登録した。麻黄湯10名、オセルタミビル8名、ザナミビル10名に無作為に割り付けした28名の患者のデータを、発熱期間(>37.5℃) と、患者が記録した症状カードによる総合症状スコアで分析した。ウイルス分離と血漿サイトカイン測定も1、3、5日目に行なった。市販の医療用麻黄湯顆粒は麻黄、杏仁、桂皮、甘草の4種類の植物から作られている。麻黄湯、オセルタミビル、ザナミビルを割り当てた患者の発熱期間の中央値は、それぞれ29、46、27時間で、麻黄湯とオセルタミビルで有意に異なった。3群間の総合症状スコアでは、有意な群間差は見られなかった。 ウイルスの持続率と、血漿サイトカインのレベル(IFN-α、IL-6、IL-8、IL-10、TNF-α)は試験期間を通じて3群間で違いは見られなかった。季節性インフルエンザを有する成人への麻黄湯顆粒の経口投与は良好な忍容性があり、ノイラミニダーゼ阻害剤と同等の臨床的およびウイルス学的有効性を持っていた。

Impact Factor: 1.777 PMID: 22350323 臨床試験登録番号: UMIN000001653