Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

六君子湯はPPI抵抗性GERD患者の症状を改善する:日本での前向き多施設無作為化臨床試験

 

DOI: 10.1007/s00535-011-0488-5

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【背景】標準的なPPI治療後の、PPI抵抗性胃食道逆流症(GERD)患者に対する有望な治療法を探索するため、PPI抵抗性GERD患者の前向き無作為多施設臨床試験において、六君子湯の効果を、ラベプラゾール(RPZ)およびラベプラゾール2倍量の効果と比較した。

【方法】ラベプラゾール(10mg/日)で4週間治療した後も、GERDの症状が継続する104例を、標準量のラベプラゾール(10mg/日)と六君子湯(7.5g/日)の4週間併用群、もしくは倍量のラベプラゾール(20mg/日)投与群に無作為に振り分けた。主要評価項目は、GERD症状の頻度を示すFスケール問診票(FSSG)を用いた治療前後の改善率である。また、サブグループ解析を、逆流性食道炎(RE)または非びらん性GERD(NERD)かどうか、年齢、性別、BMIといった、各被験者の背景因子を用いて行った。

【結果】4週間の六君子湯とラベプラゾール併用による治療で、FSSGスコアが17.6 ± 6.5から12.0 ± 6.9に有意に減少した。同様の減少は、ラベプラゾールの倍量投与の治療でも見られた。治療改善率に関しては、両方のグループで有意な効果が見られた。しかし逆流性食道炎(RE)またはNERDに基づいたサブグループ解析では、六君子湯グループの男性のNERD患者の改善率は、他のグループの男性のNERD患者より有意に高かった(p< 0.05)。六君子湯グループで、BMI低値のNERD患者は、BMI高値のNERD患者より、さらに有効であった。

【結論】六君子湯と標準量のラベプラゾール併用治療は、PPI抵抗性GERD患者の新しい治療法として有益かもしれない。

Impact Factor: 5.561 PMID: 22081052 臨床試験登録番号: UMIN000003716