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漢方薬の代替医療からの脱出

牛車腎気丸のパクリタキセル/カルボプラチン療法による末梢神経障害に対する軽減効果の客観的評価:多施設共同研究

 

dx.doi.org

癌に対するパクリタキセル/カルボプラチン療法(TC療法)は神経毒性を示し、対処困難な末梢神経障害を高頻度でおこす。本研究では、TC療法による末梢神経障害に対する牛車腎気丸の効果を評価した。本研究に組み入れた対象は、TC療法を実施し末梢神経障害が進展した卵巣がんおよび子宮内膜がん患者であった。患者は無作為に次の2群に分けた。A群(14例):ビタミンB12投与、B群(15例): ビタミンB12+牛車腎気丸投与。観察期間は、投与開始後6週間で、評価項目は次の通りであった。i)末梢神経の電流知覚閾値(CPT値)、ii)しびれのVAS評価、iii)米国国立がん研究所・有害事象共通用語規準(CTCAE) v3.0 神経毒性グレード、iv)末梢神経障害自覚症状質問表(癌タキサン療法の機能評価)。群間では、どの項目にも有意な差は認められなかった。しかし、CTCAEのグレード3の神経毒性は、投与6週間後には、A群(対照群)では2例(14.3%)において進行したのに対し、B群(牛車腎気丸投与群)においては、神経毒性は認められなかった。投与前と、投与開始6週間目におけるCPT比における異常値の頻度を両群で比較したところ、異常値の頻度は、A群に比較し、B群において有意に低かった。このことは、牛車腎気丸は、末梢神経障害の進行を抑制することを示している。

Impact Factor: 1.448 PMID: 22969845 PMCID: PMC3438785