麻黄湯のインフルエンザに対する効果
インフルエンザの発熱期間および自覚症状に対する麻黄湯、抗ウイルス剤、および、両者併用の効果を比較した。本RCTに登録された45例は、迅速インフルエンザ抗原検査においてA型インフルエンザに陽性で、書面による同意が得られた、2008年11月から2009年3月の間に順天堂大学病院を受診した者である。コンピュータを用いて、患者を無作為に次の4群に分けた。1)麻黄湯(TJ-27)投与 9例、2)タミフル(オセルタミビル)投与 13例、3)リレンザ(ザナミビル)投与 6例、4)麻黄湯・タミフル併用 9例。結果判定は、発熱、筋肉痛、頭痛、関節痛、疲労感、咳の6つで行った。発熱の経時変化、治療開始から熱が下がるまでの日数においては、4群の間で有意な差は認められなかった。さらに、筋肉痛、頭痛、疲労感、咳が治るまでの日数においても群間で有意な差は認められなかった。しかし、麻黄湯投与群では、タミフル投与群に比較し、関節痛が、より早く改善した(P=0.01で有意差あり)。麻黄湯は、熱やインフルエンザ症状において、抗ウイルス剤に匹敵する有効性を示すと結論できる。抗ウイルス剤の乱用や副作用、耐性に対しては懸念されており、麻黄湯は、インフルエンザ治療において的確な選択肢になるかもしれない。