Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

当帰芍薬散は脳卒中後の機能障害および自立の悪化を軽減する:1年間の無作為化比較試験

 

dx.doi.org

脳卒中後患者においては、脳卒中の再発や機能障害の進展が寝たきりの状態や認知症につながる。脳卒中後患者の治療に関しては、脳卒中の再発を防ぐ降圧治療や抗凝固治療だけが有効である。アジアにおいては、機能障害をもつ脳卒中後患者は、しばしば、植物薬で治療される。本研究は、脳卒中後患者において当帰芍薬散の有効性を、機能障害と自立改善作用について評価した。31例の脳卒中後患者(平均年齢 81.4歳)を集め、登録した。参加者は無作為に、当帰芍薬散群(16名)または非投与(対照)群(15名)に割りつけ、12ヶ月処置した。機能障害は脳卒中機能障害評価法(Stroke Impairment Assessment Set:SIAS)を用いて評価した。自立は機能的自立度評価法(functional independence measure:FIM)で評価した。各結果判定法で、平均変化を3ヶ月毎に計算した。SIASで評価した機能障害は、当帰芍薬散群では有意な変化は認められなかった。一方、対照群においては、SIASは優位に悪化した。2群の間には有意な差が認められた。SIASの各項目では、当帰芍薬散群においては、下肢スコア、腹筋の強さ、視空間認知などは、対照群のものより良好であった。FIMで評価した自立機能は、当帰芍薬散群においては有意に変化しなかった。一方、対照群ではFIMは有意に悪化した。FIMにおいても、両群の間には有意な差が認められた。結論として当帰芍薬散は、下肢の機能障害を抑制し、脳卒中後患者の大脳機能に対して有益な作用を及ぼすものと考えられた。

Impact Factor: 1.984 PMID: 19332457 PMCID: PMC3095247