Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

アルツハイマー病の日常診療下におけるBPSDに対する抑肝散の効果

 

DOI: 10.1016/j.pnpbp.2010.02.013

www.sciencedirect.com

抑肝散は、アルツハイマー病(AD)患者の認知症の行動および精神症状(BPSD)に対してドネペジルと一緒に頻繁に使用される。ここでは、非盲検無作為化並行群間比較試験において、AD患者における抑肝散の有効性と安全性を調べた。Neuropsychiatric Inventory(NPI)サブスケールで少なくとも1つの症状スコアが4以上の患者をこの研究に登録した。被験者は無作為に抑肝散治療群(抑肝散/ドネペジル併用療法群)と抑肝散非治療群(ドネペジル単独療法群)に割り当てられた。ツムラ抑肝散(TJ-54、7.5g、t.i.d.)を4週間の試験治療期間で投与した。被験者は、NPI、ミニメンタルステート検査(MMSE)、Disability Assessment for Dementia(DAD)、Zarit Burden Interview、およびうつ性自己評価尺度(SDS)に関して、治験治療の開始時(0週目)と終了時(4週目)に2回評価された。有効性分析は、29例(抑肝散治療群)および32例(抑肝散非治療群)で行われた。 NPI総スコアは、抑肝散治療群では抑肝散非治療群よりも有意に改善された。興奮性/攻撃性および過敏性/不安定性のNPIサブスケールでは、抑肝散治療群は抑肝散非治療群よりも有意に大きな改善を示したが、他のサブスケールでは統計的に有意な改善は見られなかった。MMSE、DAD、Zarit Burden InterviewおよびSDSにおいて、抑肝散治療群と抑肝散非治療群との間に有意差はなかった。いずれの群においても有害反応は認められなかった。この研究の結果は、抑肝散がAD患者におけるBPSDの治療において安全かつ有効であることを示した。

Impact Factor: 4.185 PMID: 20170698