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漢方薬の代替医療からの脱出

精神症状を有する中年女性における循環血中サイトカイン濃度の選択的セロトニン再取り込み阻害剤および漢方薬による変化

 

DOI: 10.1016/j.maturitas.2008.12.007

www.sciencedirect.com

【目的】本研究は精神的症状を有する中年女性における選択的セロトニン再取り込み阻害剤パロキセチンと加味逍遙散の血清サイトカイン濃度に及ぼす影響を比較検討した。

【方法】不安や軽度うつ病などの精神疾患を伴う閉経女性76例を対象とした。患者38例はパロキセチン10mgを経口投与、残りの38例は加味逍遙散を6ヶ月間経口投与した。総合的な更年期症状は、Greeneの更年期指数を用いて評価した。血清サイトカイン濃度は、複数のヒトサイトカインアッセイを用いて測定した。

【結果】Greeneの合計スコアは両群で有意に減少した。6ヶ月間のGreeneの合計スコア、精神的並びに血管運動スコアの減少率は、加味逍遙散投与群と比較しパロキセチン投与群が有意に高かった。パロキセチン群の血清IL-6濃度は有意な低下を示した。またパロキセチン群の血清中IL-8、IL10、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1β並びに単球走化性タンパク質- 1で有意な減少が認められた。一方加味逍遙散群の血清IL-6濃度は有意に低下したが、他の血中濃度に有意な変化は認められなかった。

【結論】精神症状を有する女性では、パロキセチン及び加味逍遙散の作用メカニズムとIL-6低下の関与が示唆されており、IL-6が有益な治療マーカーとなる可能性がある。またパロキセチンの作用にIL-8、IL-10、MIP-1βの減少が関連している可能性がある。

Impact Factor: 3.315 PMID: 19179025