Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

抑肝散の高齢者アルツハイマー病のBPSDに対する効果

 

DOI: 10.1016/j.pnpbp.2008.12.008

www.sciencedirect.com

 【目的】本研究の目的は、アルツハイマー病(AD)の高齢患者における認知症の行動および心理症状(BPSD)に対する抑肝散の効果を調査することであった。

【方法】ADを有する15例(平均年齢:80.2±4.0歳)が研究に参加した。認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)を使用した。BPSDは精神神経症状評価(NPI)を用いて評価された。Barthel Indexは日常生活の活動(ADL)の評価に使用された。ドパミンD2選択的抗精神病薬であるスルピリドと共に抑肝散による治療を12週間行った。

【結果】14名の患者が試験を完了した。抑肝散での12週間の治療後、平均NPIスコアの有意な改善が観察されたが、対照群では有意な改善は観察されなかった。本試験終了時のスルピリドの平均投与量は、対照群よりも抑肝散群の方が少なかった。MMSEの結果は抑肝散群でも対照群でも変化しなかった。Barthel Indexは、抑肝散群においても対照群においても有意に変化しなかった。重篤な有害作用は認められなかった。

【結論】12週間の抑肝散治療により、高齢のAD患者における抗精神病薬の減少とともにBPSDが有意に改善された。抑肝散治療は認知機能低下またはADL低下を引き起こさず、重篤な有害作用は認められなかった。本研究は、抑肝散がBPSDの治療に有益であり、そしてそれがBPSDの治療に必要な抗精神病薬の用量をおそらく減少させることができることを示唆する。二重盲検プラセボ対照デザインを用いたより大規模な患者集団についてのさらなる研究が行われるべきである。

Impact Factor: 4.185 PMID: 19138715