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漢方薬の代替医療からの脱出

胆管癌による胆管閉塞患者の肝臓に対する茵蔯蒿湯の利胆作用

 

DOI: 10.1111/j.1872-034X.2008.00453.x

www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】胆管癌による胆管閉塞患者の肝臓に対する茵蔯蒿湯の胆汁分泌促進効果を調査すること。

【方法】胆管ドレナージとその後の大肝切除術を受ける予定であった27名の胆管癌患者を無作為に術前茵蔯蒿湯(n=13)または未治療(n=14)群に割り当てた。茵蔯蒿湯は入院日から手術の1日前まで投与された。エンドポイントとして、胆汁成分の変化、肝臓における多剤耐性関連タンパク質(MRP)2、MRP3、MRP4の発現、および術後合併症の発生率が含まれていた。

【結果】総ビリルビンの胆汁濃度は茵蔯蒿湯の投与後に有意に増加した(茵蔯蒿湯投与前23.7±2.8mg/dL;茵蔯蒿湯投与後34.0±4.0mg/dL、P<0.05)。総胆汁酸の胆汁濃度もまた有意に増加した。治療を受けた患者の肝臓の粗原形質膜画分中のMRP2およびMRP3のタンパク質レベルは、治療を受けていない患者よりも有意に高かった。茵蔯蒿湯治療を受けていない患者の肝臓のMRP2染色は弱く胆管周囲に拡散していたが、茵蔯蒿湯治療を受けた患者の染色は強く胆管に限定されていた。

【結論】茵蔯蒿湯は胆道閉塞患者の肝臓に胆汁分泌促進作用を及ぼす。この有益な効果はMRP2の発現増加と関連していた。したがって、茵蔯蒿湯は、胆管癌による閉塞性胆汁うっ滞の治療に治療的可能性がある。

Impact Factor: 3.418