Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

半夏厚朴湯の高齢認知症患者の肺炎リスク軽減を評価した予備的研究

 

DOI: 10.1111/j.1532-5415.2007.01448.x

www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】高齢者の誤嚥性肺炎並びに肺炎に関連した死亡防止に対する半夏厚朴湯の効果を検討した。

【試験デザイン】前向き単純盲検無作為化比較試験

【施設】2005年3月から2006年2月における国内の高齢障害者の長期療養病院2施設を対象とした。

【対象者】認知症および脳血管疾患、アルツハイマー病またはパーキンソン病を伴う高齢患者104例(男性31例、女性73例;平均年齢±標準偏差83.5±7.8)

【介入】95例(平均年齢84.0歳、M:F=28:67)を半夏厚朴湯治療群(n=47)または対照群(n=48)に無作為に割り当て、それぞれの薬剤を12ヶ月間投与した。

【評価】肺炎罹患率、肺炎による死亡率、1日の自力経口摂取量

【結果】無作為に割り当てた患者95例中、92例から解析に利用可能な完全データを入手した。半夏厚朴湯群の患者4例が肺炎に罹患し、その内1例が肺炎で死亡した。対照群の患者14例が肺炎に罹患、内6例が肺炎により死亡した。両群間の肺炎罹患(P=0.008)と肺炎に関連した死亡率(P=0.05)で有意差が認められた。Cox比例ハザードモデルに基づく相対危険度(RR)は対照群と比較し半夏厚朴湯群は0.51(95%信頼区間(CI)=0.27-0.84、P=0.008)であり、肺炎による死亡のRRは0.41(95%CI=0.10-1.03 、P=0.06)であった。半夏厚朴湯による有害事象は観察されなかった。半夏厚朴湯群は対照群よりも自力経口摂取量を良好に維持できた(P=0.006)。

【結論】半夏厚朴湯は認知症を伴う高齢患者の肺炎および肺炎に関連する死亡リスクを抑制した。

Impact factor: 4.155