Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

下肢の冷えを呈する閉経後女性の末梢血流に及ぼすビタミンEと温経湯の作用比較:無作為化前向き研究

 

DOI: 10.1142/S0192415X06004442

www.ncbi.nlm.nih.gov

我々は、冷えを伴う閉経周辺期女性の血流並びに下肢の冷えの関連性に対するビタミンEと温経湯の血流変化を比較した。下肢の冷えを伴う42~61歳(平均50.4±3.8歳)の閉経女性161例を対象とした。患者は無作為に温経湯あるいはニコチン酸トコフェロール600mg含有ビタミンE/日を割り当て8週間投与した。レーザードップラー血流計を用いて顎下、中指、第3趾の血流測定を行った。温経湯は基底値(6.0±5.1)と比較し足趾の皮膚表面上の末梢血流を増加させたが(12.8±8.8、p=0.0068)、指先並びに顎下の血流に有意な変化は認められなかった。下肢の皮膚表面の血流増加率はビタミンE群(39.8±21.3%)よりも温経湯群が有意に高かった(116.4±46.5%)(p <0.0001)。ベースラインで上肢の血流が平均+1.5 SDを超える患者で温経湯とビタミンEの効果を比較したところ、温経湯では上肢の平均血流量が有意に低下し(57.7±4.8から43.1±4.2、p=0.0277)、その一方でビタミンEでは変化が見られなかった。古典では下肢の冷えの治療に温経湯特に有用であると述べられている。レーザードップラー血流計を用いた本研究により、温経湯は下肢の冷えを伴う患者の末梢血流を有意に増加させることを示した。またこの漢方薬は、上半身の過剰な血流を抑制することで全身の血流分布回復を刺激することが認められた。

Impact Factor: 3.12