Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

十二指腸乳頭に対する芍薬甘草湯の直接噴霧:内視鏡的逆行性胆道膵管造影後膵炎の新規予防法

 

DOI: 10.1159/000368812

www.ncbi.nlm.nih.gov

【背景/目的】十二指腸乳頭への局所エピネフリン投与は、オッディ括約筋の攣縮を防ぎ、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)後の急性膵炎を予防する。芍薬甘草湯は筋肉の収縮を抑制する作用を持っている。従って、芍薬甘草湯にもオッディ括約筋を弛緩させ、ERCP後膵炎の予防に有益である可能性がある。

【方法】ERCP施行予定の36例を芍薬甘草湯群(n=17)と対照群(n=18)に分けた。芍薬甘草湯群では、芍薬甘草湯溶液を患者の十二指腸乳頭へ内視鏡的に直接噴霧した。芍薬甘草湯の作用はERCP施行1時間後と1日後の血清アミラーゼ値と症状の評価で行った。

【結果】ERCP施行1時間後の血清アミラーゼ値は芍薬甘草湯群273.6±212.0 IU/L、対照群428.7±281.6 IU/Lで両群間に有意差が認められた(P=0.036)。ERCP施行24時間後では芍薬甘草湯群230.0±182.7 IU/L、対照群497.4±514.0IU/Lであった(P=0.011)。ERCP後膵炎は芍薬甘草湯群0例、対照群4例(21.1%)であり、統計学的な有意差はなかった(P=0.11)。

【結論】十二指腸乳頭に対する芍薬甘草湯溶液の直接噴霧により血清アミラーゼ値の上昇が有意に抑制された。しかしながら、ERCP後膵炎に対する予防効果は本研究においては確認できなかった。

Impact Factor: 2.037