Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

低温感受性を持つ下部尿路症状に対する、2種類の漢方薬、八味地黄丸と牛車腎気丸の臨床的有効性と忍容性

 

DOI: 10.1016/j.jtcme.2015.03.010

www.sciencedirect.com

α1ブロッカーや抗ムスカリン薬に反応しない低温感受性の下部尿路症状(LUTS)を有する60名において、2種類の漢方薬、八味地黄丸と牛車腎気丸の有効性と忍容性を評価した。全患者はα1ブロッカーまたは抗ムスカリン薬の追加療法として、八味地黄丸または牛車腎気丸のいずれかを12週間服用した。国際前立腺症状スコア(IPSS)、国際前立腺症状QOLスコア(IPSS-QOL)、前立腺肥大症影響指数(BPH impact index)、夜間排尿回数が統計学的に高い改善率だった。しかしながら,最大尿流率および残尿量に変化はなかった。尿中8-hydroxy-2-deoxyguanosineは、牛車腎気丸投与群に比べ八味地黄丸投与群では、投与前後で統計学的に大幅に改善した。有害反応は患者の8.3%に認められたが、いずれも軽度であった。八味地黄丸、牛車腎気丸は、いずれも安全かつ有効な潜在的代替療法としてα1ブロッカーまたは抗ムスカリン薬不応の下部尿路症状および低温感受性を有する患者に用いることができる。加えて八味地黄丸には抗酸化作用を有することがわかっており、尿路症状に対する効果に加えて抗老化作用について調べるため、長期に渡るさらなる研究が必要である。

CiteScore: 2.65 PMID: 26587398 PMCID: PMC4624524