Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

回腸嚢炎の患者における半夏瀉心湯の経口投与:予備的研究

dx.doi.org

【目的】7種類の生薬で構成される半夏瀉心湯は、これまで炎症性または潰瘍性腸疾患の治療に用いられてきた。本研究では慢性回腸嚢炎治療に対する半夏瀉心湯の安全性および有効性を検討した。
【方法】回腸嚢炎発症の頻度が高い(6か月に3回以上)または継続的な抗生物質による治療を必要とする持続的な症状のいずれかと定義された慢性回嚢炎患者19例を選択し、シプロフロキサシン(CPFX)600mg/日を2週間(0-2週)、半夏瀉心湯 3,750mg/日を32週間(0-32週)投与した。短期間の評価として、0週および6週の回腸嚢炎活動指数(PDAI)スコアを測定した。長期間の評価には、試験登録前の総CPFX量(試験登録30週前から5週前まで)と、試験期間中の26週(7週-32週)の総CPFX量を比較した。CPFXの併用投与は2-6週では認められなかったが、症状が悪化した患者は7週から32週目までCPFXを投与した。
【結果】患者14例が32週に及ぶ本研究を完了した。患者8例のPDAIスコアは7以下に減少した。平均PDAI総スコアは、11±2.5から6.5±2.5と有意に低下した(P< 0.001)。総CPFX量の平均値は、491.6±182.4mg/kgから392.5 ±184.0mg/kgに有意に減少した(P< 0.05)。重篤な有害事象は認められなかった。
【結論】本結果から、半夏瀉心湯は慢性回腸嚢炎に対して副作用もなく好ましい結果が示唆された。
PMID: 31583317 PMCID: PMC6768822 臨床試験登録番号: UMIN000010004