Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

肝保護薬である茵蔯蒿湯の胆汁分泌促進作用は、腸内微小環境に影響されるのか?

 

DOI: 10.1111/hepr.12985

www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】肝保護薬である茵蔯蒿湯の胆汁分泌促進作用は、患者によって異なる。本研究では、胆道閉塞患者における茵蔯蒿湯の胆汁分泌作用と腸内微小環境との相関性を検討した。

【方法】外胆汁瘻造設した胆道閉塞患者を対象とした。胆汁中の総ビリルビンおよび胆汁酸濃度、ならびに茵蔯蒿湯投与前後に血中のゲニピン(茵蔯蒿湯の主要活性成分)を測定した。患者の糞便を採取し、細菌数および有機酸濃度を評価した。

【結果】患者37例から採取したサンプルを分析した。血清中ゲニピン濃度は茵蔯蒿湯投与後3時間で増加し、胆汁中胆汁酸、総ビリルビンおよび直接ビリルビン濃度の変化率と正の相関を示した。血清ゲニピン濃度と糞便中のClostridium leptumサブグループ、Bacteroides fragilisグループ、BifidobacteriumおよびAtopobiumクラスターなどの代表的な偏性嫌気性菌濃度もまた正の相関を示した。対照的にClostridium difficile、EnterobacteriaceaeおよびEnterococcusなどのいわゆる有害細菌は、ゲニピン濃度と負の相関を示した。茵蔯蒿湯投与後のゲニピン濃度は、糞便中のプロピオン酸および酪酸などの短鎖脂肪酸濃度と正の相関を示し、乳酸とは負の相関性を示した。

【結論】ゲニピン吸収は患者間で変動した。これは糞便内菌叢と関連しており、患者間における茵蔯蒿湯の胆汁分泌促進作用の違いを部分的に説明する可能性が示唆される。

Impact Factor: 3.418 PMID: 28960692 臨床試験登録番号: UMIN000013250