Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

加味帰脾湯の交感神経系と副交感神経系のバランス回復による癌関連疲労改善作用

 

DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.prnil.2017.11.002

www.sciencedirect.com

 【目的】がん関連疲労はがん患者が経験する最も一般的な症状の1つであるが、メカニズムは解明されていない。我々は漢方薬の加味帰脾湯の投与による疲労改善作用の定量化並びにメカニズムを検討した。
【方法】本研究は泌尿器疾患の外来患者の内、癌患者37例並びに癌が寛解または排尿障害で治療中の23例を対照群として組み入れ比較した。疲労度は自律神経測定器を用いて評価した。その後、上記対象者とは別の前立腺癌あるいは転移性腎細胞癌でホルモンまたは抗腫瘍治療中の癌患者35例に加味帰脾湯を投与した。患者の主観的な疲労度およびその他の問題は、チャルダー疲労スケール、疫学研究用うつ病尺度(CES-D)、エプワース眠気尺度を用いて評価した。血液検査による活性酸素誘導体および生物学的抗酸化能も測定した。
【結果】自律神経測定器を用いた評価により、癌治療群は対照患者と比較しより疲労を経験していた。加味帰脾湯投与患者35例では、疲労うつ病、および眠気スコアの改善を示した。また加味帰脾湯投与群では自律神経系バランスの改善、活性酸素代謝物濃度の有意な低下、そして抗酸化能が有意に高いことが示された。
【結論】疲労度は対照群よりも癌患者群で深刻だった。加味帰脾湯は疲労を回復させ、不安と眠気を改善した。また自律神経系のバランス並びに抗酸化機能も回復させた。
CiteScore: 1.95 PMID: 29922633 PMCID: PMC6004623