Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

非小細胞肺がん患者におけるアファチニブ誘発性下痢および発疹に対する半夏瀉心湯+ミノサイクリンによる予防効果

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【目的】アファチニブで誘発される下痢および口腔粘膜炎は、アファチニブ治療中の患者にとって計り知れない生活の質の問題を引き起こす可能性がある。いくつかの研究から、化学療法誘発性下痢および口腔粘膜炎に対する半夏瀉心湯の有効性が示唆されている。本研究では、アファチニブによる下痢、口腔粘膜障害、ざ瘡様皮疹に対する半夏瀉心湯の予防効果及びミノサイクリン併用の有効性を検討した。

【方法】第1および第2世代の上皮成長因子受容体(EGFR)-チロシンキナーゼ阻害剤は、EGFR変異陽性非小細胞がん患者の標準1次治療となっている。下痢発現率はゲフィチニブ群よりもアファチニブ群で高かったことから、アファチニブを用いた単群フェーズⅡ試験を実施した。以前にアファチニブ治療を受けた患者は除外した。半夏瀉心湯(7.5g/日)およびミノサイクリン(100mg/日)をアファチニブ投与開始時から同時投与した。主要評価項目は治療開始から4週間の ≥ Grade 3(G3)の下痢発現率(ベースラインからの排便が1日 ≥ 7の増加)とした。副次評価項目は、≥ G3の口腔粘膜炎(経口摂取を妨げる重度の痛み)および皮膚毒性(重度または医学的に重要な有害事象であるが直ちに生命を脅かさない)の発生率とした。

【結果】4施設より患者計29例(男性9例、女性20例、平均年齢66歳、パフォーマンススコア0/1/2:18/10/1)を登録した。患者4例が、ゲフィチニブまたはエルロチニブを含む化学療法の前治療を受けていた。全体で患者20例(68.9%)と患者1例(3.4%)であらゆるGradeの下痢あるいはG3以上の下痢を発症した。患者1例(3.4%)でG3以上の口腔粘膜炎が認められた。G3以上の皮疹を発症した患者はいなかった。患者29例中18例(62%)で部分反応が認められた。

【結論】本研究結果から、半夏瀉心湯はアファチニブによる下痢のリスクを低下させ、ミノサイクリンはアファチニブ誘発性ざ瘡様皮疹のリスクを低下させる傾向を示した。

Impact Factor: 2.656 PMID: 29123409 PMCID: PMC5661491

臨床試験登録番号: UMIN000018392