Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

アルツハイマー型認知症患者の睡眠障害に対する抑肝散の効果

 

dx.doi.org

【目的】抑肝散の認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する有効性のエビデンスが蓄積されてきている。BPSDを有する患者と同様、アルツハイマー病(AD)患者の睡眠の質も悪い。高齢者では、睡眠時呼吸障害および睡眠時周期的四肢運動障害(PLMD)など特定の睡眠障害の頻度が高くなる。PLMsは一般的に中途覚醒による睡眠の断片化が引き起こされると考えられている。この研究の目的は、抑肝散がAD患者の睡眠ポリグラフ変数を変化させるかどうかを検討することである。

【方法】標準的基準によりProbable ADと診断された患者7例(男性3例・女性4例)を対象とし、抑肝散を4週間投与した。BPSD評価にNPI(Neuropsychiatric Inventory)、認知機能評価はMMSE(Mini-Mental State Examination)、睡眠構造評価に睡眠ポリグラフ、睡眠の質の主観的評価にピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)およびEpworth Sleepiness Scale(ESS)を投与前および投与終了時に実施した。 本調査は倫理審査委員会の承認を得た。臨床試験ガイドラインヘルシンキ宣言に従い全患者から書面による同意を得た。

【結果】抑肝散投与は、NPIスコアの低下、全睡眠時間の延長、睡眠潜時の短縮、睡眠効率の上昇、および睡眠中の四肢運動の減少をもたらした。主観評価であるPSQIとESSも改善した。

【結論】抑肝散は、AD患者のBPSDおよび睡眠障害に有効であった。抑肝散による、日中の傾眠、錐体外路症状、または無呼吸-呼吸低下指数の増加の誘発はなかった。

Impact Factor: 3.03 臨床試験登録番号: UMIN000005461