Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

六君子湯の食後血糖と脂質代謝に対する作用

 

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【目的と背景】六君子湯は機能性ディスペプシア治療に運動促進薬として用いられている。食事の胃排出の亢進は、食後高血糖インスリン分泌反応、その結果として脂質代謝に大きな影響を与える可能性がある。本研究の目的は、固形食服用後の、血糖とインスリン・レベルとの関係、GLP-1の反応に関して検討することである。六君子湯の糖と脂質の代謝に対する影響もあわせて検討した。

【方法】11名の健常ボランティアで食物負荷試験(クッキーテスト)を実施した。

【結果】六君子湯の2週間投与は食後の血糖、GLP-1、中性脂肪、RLP-c(レムナント様リポ蛋白コレステロール)に影響を与えなかった。一方、六君子湯投与60分目の血漿インスリン・レベルは、有意に増大していた。遊離脂肪酸レベルも、六君子湯服用後60分から180分の間は低値であった。このことは、GLP-1は固形食摂取60分目におけるインスリン分泌の促進には影響を与えないことを示唆している。六君子湯の運動促進作用は、固形食摂取後のインスリン分泌を変化させると考えられる。

【結論】六君子湯は固形食摂取後60分目のインスリン分泌を促進し、その後、血漿の遊離脂肪酸を低下させる。このことは、メタボリック・シンドロームの予防に役立つと考えられる。