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漢方薬の代替医療からの脱出

小児と未成年の広汎性発達障害に関係する興奮性に対する抑肝散の効果:12週間の前向き非盲検試験


 

DOI: 10.1089/cap.2012.0108

www.ncbi.nlm.nih.gov

【背景】自閉症は、社会的交流の欠損、コミュニケーションの質的障害と、制限された、反復的、ステレオタイプ化したパターンの行動、興味、活動を特長とする精神神経症候群である。自閉症は、広汎性発達障害の一種と分類される。全ての広汎性発達障害は、社会的関係において質的障害を有している。しかし、広汎性発達障害の多くの患者は、興奮性(攻撃、自傷行為、重度の疳積)などの干渉症状を有している。行動療法は、これらの行動を軽減するのに、しばしば有用であるが、興奮性の強度と重症度のため、時には補助的薬物が必要である。多くの薬剤が広汎性発達障害の患者でテストされてきた。これらの薬剤の多くは、有用であると証明されてきたが、広汎性発達障害の主要な治療として明確なものにはなっていない。いくつかの薬剤は有効ではあるが、忍容性と副作用が使用の障害になっている。抑肝散は7種類の生薬から構成されている。抑肝散は、主にグルタミン酸作動性とセロトニン作動性の神経システムに作用することから、精神疾患の治療のために臨床的において広く処方されている。最近の研究は、抑肝散はBPSD患者の治療において、安全で有用な薬剤であるかもしれないことを示している。我々は、広汎性発達障害の患者における、抑肝散の有効性と安全性の両方を評価することを目的とした。

【方法】本研究は、広汎性発達障害と診断された、6-17歳の20名の小児、未成年における、抑肝散の12週間の前向き非盲検試験であった。主要評価項目は、臨床全般印象-病気改善スケール(CGI-I)と小児全般評価スコア(CGAS)と異常行動チェックリスト(ABC)の興奮性サブスケールなどとした。

【結果】20名の被験者は、6-17歳で、2.5-7.5g/日の抑肝散を服用した。CGI-Iは8週目から有意に改善した(p<0.001)。CGASの平均は、治療前で31.92だったが、12週目の最終スコアの平均は54.52だった(p<0.001)。ABC易怒性/興奮性サブスケール(サブスケール1)は、8週目から有意に改善して、過活動/不服従サブスケール(サブスケール4)は、12週間で有意に改善した。抑肝散の忍容性は良好であった。薬物由来の有害事象による中止はなかった。

【結論】これらの予備的データは、抑肝散は、6-17歳の、広汎性発達障害の小児と未成年の患者の、重度の易怒性/興奮性と過活動/不服従の治療に有効であり、十分な認容性があることを示している。しかし、この試験の特徴を考えると、この結果は慎重にあつかわなければならない。抑肝散の有効性と認容性を明らかにするためには、本疾患を代表する集団で、さらに大規模なプラセボ対照試験が必要である。

Impact Factor: 2.901