Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

ホルモン補充療法に抵抗性がある更年期障害で精神症状を強く訴える患者に対する加味逍遙散の有効性

 

DOI: 10.1111/j.1447-0756.2012.01936.x

www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)は、ホットフラッシュ、発汗のような血管運動症状に有効だが、不安、抑うつ、興奮のような精神症状には有効ではない。このような症例では、漢方薬の処方が時に考慮される。しかし漢方薬の有効性は明らかになっていない。我々は日本の漢方クリニックで、更年期障害に一般的に処方される植物製剤である加味逍遙散の臨床効果を検討した。

【方法】HRTに無反応、または満足のいく改善が得られないために漢方外来を受診した患者180例のうち、患者主体の漢方的診断に基づき、45例が加味逍遙散エキスを4週間服用した。加味逍遙散4週間投与の前後でVASスコアに基づいて、更年期症状の重症度を評価した。

【結果】患者45例中33例で(73.3%)加味逍遙散は有効であった。治療後は全体として、VASスコアは有意に減少した(p<0.0001)。治療前の症状の重症度をレスポンダーとノンレスポンダーで比較すると、「不眠」、「抑うつ」、「めまい」の様な症状はレスポンダーでさらに強くあらわれていた(p<0.05)。

【結論】この研究の結果は、加味逍遙散は血管運動症状と精神症状の両方を軽減することを示唆しており、特に顕著な精神症状のある患者で強い効果を示した。

Impact factor: 1.091