Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

胃癌により胃切除を行った患者における消化管症状とグレリンレベルへの六君子湯の作用

 

DOI: 10.1007/s10120-012-0164-3

link.springer.com

胃切除術を受けた胃がん患者は、体重減少、ダンピング症候群、逆流性食道炎、アルカリ逆流性胃炎、さらに最終的には栄養不良で悩まされる。術後のQOLを回復させるため、胃切除術後の症状を改善することは重要である。この研究の目的は、胃癌により胃切除を行った患者における術後の症状とグレリンレベルに対する六君子湯の作用を調べることであった。胃切除術を受けた25例は、毎食前に六君子湯2.5gを4週間服用し、次の4週間は休薬した。グレリンを含む消化管ホルモンの変化を測定し、食欲をVASで測定し、EORTCQLQ-C30 を用いてQOLを評価した。胃切除術後の消化管症状を評価するため、上部消化管機能評価(DAUGS)を用いた。男性16例、女性9例(平均年齢61.9歳)が本試験に登録された。全ての患者はステージⅠ(24例)もしくはステージⅡ(1例)で、幽門側胃切除術(17例)もしくは胃全摘出術(8例)を腹腔鏡補助下で受けた。平均アシルグレリン/総グレリン比は六君子湯投与後に有意に増加した(投与開始前:7.8±2.1%、4週間後:10.5±1.7%、p=0.0026)。六君子湯投与後に、総DAUGSスコア(上部消化管機能スコア)に加え、食物摂取低下による活動力低下を反映するスコア、逆流症状、ダンピング症候群、悪心嘔吐は有意に改善した。本研究は、胃切除術後の六君子湯投与により、消化管症状が有意に改善することを証明したものである。六君子湯は、胃切除術後の消化管症状を最小に抑えるのに有用かもしれない。

Impact Factor: 5.045 PMID: 22895614