Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

特定不能の広汎性発達障害と、アスペルガー障害に対する抑肝散の治療:12週間の前向き非盲検試験

dx.doi.org

 

多くの薬剤が、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)と、アスペルガー障害患者で、テストされている。これらの薬剤の多くは有用であることは証明されているが、PDD-NOSとアスペルガー病の初期治療として明確なものは知られていない。いくつかの薬剤は有効ではあるが、認容性と副作用が使用の障害になっている。最近の研究によると、抑肝散はBPSDといくつかの神経精神病疾患の治療において、安全で有用な薬剤であるかもしれない。我々は、明確なPDD-NOSとアスペルガー障害患者における、抑肝散の有効性と安全性の両方を評価することを目的とした。本研究は、PDD-NOSもしくはアスペルガー障害群と診断された40名の小児、未成年、成人において、抑肝散の12週間の前向き非盲検試験であった。主要評価項目は臨床全般印象度-疾患重症度スケール(CGI-S)と異常行動チェックリスト-興奮性サブスケールスコア(ABC-I)を含むものとした。40名の被験者は、8-40歳(平均22.7±7.3歳)で、平均6.4±1.3g/日(2.5-7.5g/日)の抑肝散を服用した。フルスケール知能指数(IQ)スコアは、70から110(平均88.9±13.2)の範囲であった。40名の被験者のうち36名(90%)では、攻撃性、自傷、癇癪を含む興奮性の干渉症状は低下し、最終的な CGI-Sは1もしくは2(正常もしくは精神疾患の境界線上)であり、80%以上ABC-Iは改善した。治療前の平均CGI-Sスコアは、6.8±0.8であったが、投薬後のスコアは、1.9±0.1(p<0.0001)であった。ABC-Iスコアは、治療前は11 から29(平均17.4±3.66)であったが、12週目では、0から5(平均0.93±0.97)であった(p<0.0001)。抑肝散の忍容性は良好であった。薬物由来の有害事象による中止症例はなかった。これらの予備的データは、抑肝散は、PDD-NOSまたはアスペルガー障害患者の、深刻な興奮性、倦怠感/離脱、常動行動、他動性/ノンコンプライアンス、不適切な会話の治療に有効であり、十分な忍容性があることを示している。しかし、この試験の特徴を考えると、この知見は、慎重にあつかわなければならない。抑肝散の有効性と認容性を明らかにするためには、試験に同意した集団でのさらに大規模なプラセボ対照試験が必要である。

Impact Factor: 2.419 PMID: 23194148 PMCID: PMC3533891