Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

症候性胃食道逆流症患児の臨床症状および食道酸曝露に対する六君子湯の効果について

doi.org

六君子湯は8つの生薬から構成される漢方薬で、慢性胃炎の治療に用いられる。複数の試験から、六君子湯はヒトの胃内容排出を改善することが認められている。本研究において、症候性胃食道逆流(GRE)の小児における臨床症状及び食道内酸曝露に対する六君子湯の効果を検討した。生後2ヵ月~15歳(中央値4歳)の小児8例を調査した。このうち6例に神経障害が認められた。六君子湯(0.3g/kg/日)を3分割して毎食前に7日間、経口又は経鼻胃管を介して投与した。症状として、嘔吐が4例、悪心が2例、吐血及び喘鳴がそれぞれ1例に頻繁に認められた。食道下部(P1)及びP1から10cm 口側(P2)に配置した多チャンネルpH電極を用いて、24時間食道pHモニタリングを実施した。六君子湯治療前と治療1週間後の臨床症状及び食道pHを比較した。嘔吐の頻度は3例で低下した。残りの患者では、悪心、吐血、及び喘鳴など、他の症状は軽減した。食道下部で測定されたpH4.0未満の時間率は有意に低下し、平均逆流時間も有意に短縮した(P<0.05)。しかし、1時間当たりの酸逆流回数は有意に変化せず、近位電極で測定されたpHパラメーターにも有意差は認められなかった。六君子湯の短期投与により、症状は軽減し、食道下部の酸曝露は食道クリアランスの改善を介して軽減した。

Impact Factor: 1.476 PMID: 17668223