Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

胃瘻の術後児に対する大建中湯の安全性と有効性

dx.doi.org

【目的】胃瘻修復後の腸管機能障害は大きな問題であり,胃瘻患者の経口摂取不良や体重増加不良の原因となる.本邦では消化管機能障害の治療に大建中湯(DKT)が多く用いられている。本研究の目的は、合併症のない胃瘻の乳児に対するDKTの効果を解析することである。
【方法】 1991年から2009年までのレトロスペクティブ・コホート研究において、合併症のない胃瘻を有する乳児16名を評価した。8人の乳児に0.3 g/kg/日のDKTを12ヶ月間投与し(グループ1)、8人の乳児にはDKTを投与しなかった(グループ2)。DKTの効果の指標として、体重を分析した。
【結果】背景特性に有意差はなかった。グループ1の体重は、グループ2と比較して、生後9カ月(p=0.0348)および12カ月(p=0.0097)で有意に増加した。多変量解析の結果、DKT投与のみが生後9カ月(p=0.0201)および12カ月(p=0.0111)の体重増加に有意な影響を及ぼしたことが明らかとなった。DKTに関連する副作用は報告されなかった。
【結論】DKTは合併症のない胃瘻患者の体重増加に安全かつ効果的に作用する可能性が示唆された。