Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

慢性硬膜下血腫の再発予防に対する五苓散と柴苓湯の効果:前向き無作為化研究

DOI: 10.1227/neu.0000000000002649

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

【背景と目的】慢性硬膜下血腫(CSDH)は外科的治療後に再発し、再手術を要することがある。日本では、CSDHの再発予防の補助療法として、五苓散や柴苓湯などの漢方薬が用いられてきた。しかし、すべての患者における漢方薬の有効性を証明した前向き無作為化試験はない。五苓散や柴苓湯がCSDHの術後再発を抑制するかどうかを前向き無作為化試験で検討する。

【方法】2017年4月から2019年7月にかけて、CSDHに対して初回穿頭手術を受けた計118例の患者を以下の3群に無作為に割り付けた:(1)五苓散3ヵ月投与群(G群)、(2)柴苓湯3ヵ月投与群(S群)、(3)投薬なし群(N群)。主要評価項目は術後3ヵ月以内の症候性再発、副次的評価項目は漢方薬投与に伴う合併症とした。

【結果】118例中114例(N群39例、G群37例、S群38例)が解析対象となった。本試験では、白朮(Atractylodes rhizomeを含む)五苓散と柴苓湯を用いたが、他の前向き無作為化試験では蒼朮(Atractylodes lancea rhizomeを含む)五苓散を用いた。全体の再発率は11.4%(13/114:N群10、G群2、S群1)であった。G群の再発率はN群より有意に低かった(5.4% vs 25.6%;P = 0.043)。S群の再発率もN群より有意に低かった(2.6% vs 25.6%;P = 0.02)。漢方薬投与に関連した合併症を発症した患者はいなかった。

【結論】本研究は、漢方薬が全人口におけるCSDHの再発率を減少させたことを示した初めての研究である。本研究は、他の研究とは異なり、白朮五苓散と柴苓湯が良好な効果を示す可能性があることを示した。

Impact Factor: 4.8