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漢方薬の代替医療からの脱出

ELBWにおける上腸間膜動脈と門脈の血流に対する大建中湯の効果:前向き研究

doi.org

【背景】巣状腸穿孔(FIP)は早産の壊滅的な合併症であり、極低出生体重児(ELBW)が最もリスクが高い。本研究では、腸管血流とFIPの関連を検討するため、上腸間膜動脈(SMA)と門脈(PV)の血流速度の関係を評価することを目的とした。また、漢方処方である大建中湯は腸管血流障害を改善することが期待されるため、その効果を評価した。

【方法】2020年1月から2021年8月にかけて、15例のELBW児を対象に前向きコホート研究を行った。測定変数は、出生体重、5分間アプガースコア、経口栄養開始時期、動脈管(PDA)閉鎖率(パーセント)、拡張期および収縮期血圧、SMAおよびPV血流速度、FIP発症データなどであった。15例の乳児を3群に分けた:非手術群(I群;6例)、FIPを伴う手術群(II群;4例)、大建中湯投与群(III群;5例)。主な評価項目はTJ-100によるSMAとPVの血流速度であった。

【結果】SMAとPVの血流はI群のSMA、III群のSMAとPVで有意に異なっていた(それぞれP < 0.01、P = 0.01、P = 0.04)。III群ではSMAとPVに相関がみられた(P = 0.03)。

【結論】大建中湯は、FIPリスクのあるELBW乳児において、SMAとPVの血流を増加させ、腸管血流を改善する可能性がある。したがって、大建中湯の効果についてはさらなる研究が必要である。

PMID: 37718870