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漢方薬の代替医療からの脱出

アンドロゲン除去療法を受けている前立腺癌患者におけるほてりに対する桂枝茯苓丸の有効性:ホルモンおよびサイトカインレベルに注目したサブ解析

doi.org

【背景】本研究では、桂枝茯苓丸の有効性のメカニズムを、ホルモンおよびサイトカインレベルに着目して解明することを試みた。本研究は、単群前向き試験から抽出した血清ホルモンおよびサイトカイン値のサブ解析である。

【方法】25例の参加者に桂枝茯苓丸を1回2.5g、1日3回、12週間投与し、ほてりの状態を日記に書いて比較した。インターロイキン(IL)-8や腫瘍壊死因子α(TNF-α)を含む様々なホルモン値やサイトカイン値を、ベースライン時と12週目の診察時に測定した。ベースライン時のホルモン値およびサイトカイン値とほてりの相関が調査された。レスポンダー解析の一環として、全参加者をベースライン時の全ホルモンおよびサイトカインのベースライン値中央値に基づいて2群に分け、両群におけるベースライン時から12週来院時までのほてりの強さと頻度の変化量を比較した。さらに、ほてりと各パラメーター間の桂枝茯苓丸投与による変化量(Δ値)の相関も行った。

【結果】ほてりの強さはエストラジオール値と逆相関し(r=-0.433、P=0.019)、頻度はプロゲステロン値と逆相関した(r=-0.415、P=0.025)。反応性の解析では、ベースライン時のTNF-α値が高い患者ほど、ホットフラッシュの強さに対する桂枝茯苓丸桂枝茯苓丸の有効性が増加した(P=0.0372)。桂枝茯苓丸は、IL-8値が高い患者において、頻度でより効果を示した(P=0.0312)。一方、桂枝茯苓丸の有効性は、ベースライン時と12週目の診察時のホルモン値やサイトカイン値の変化とは有意な関連を示さなかった。しかし、ΔIL-8およびΔTNF-αは、桂枝茯苓丸投与によるほてりの強さΔおよび頻度Δとは有意な相関を示さなかった。

【結論】ほてりはエストラジオールおよびプロゲステロン値と逆相関があった。桂枝茯苓丸はTNF-αおよびIL-8値が高い患者においてより有効であり、治療による血清値の有意な変化は認められなかった。桂枝茯苓丸の作用機序として示唆されるのは、この薬剤がIL-8とTNF-αの産生を抑制することはないが、これらのサイトカインの作用の一部を阻害する可能性があるということである。

Impact Factor: 2 CiteScore: 3.4 PMID: 37680217 PMCID: PMC10481189