Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

シスプラチン誘発悪心・嘔吐に対する六君子湯の制吐効果: 日本における全国規模のデータベース研究

doi.org

【目的】化学療法による悪心・嘔吐(CINV)に対する六君子湯の効果は、いくつかの小規模前向き研究で評価されているが、結果はまちまちである。我々は、日本の大規模データベースを用いて、シスプラチンベースの化学療法を受けた患者における六君子湯の制吐作用をレトロスペクティブに評価した。

【方法】2010年7月から2019年3月までの診断群分類包括評価入院患者データベースを用いて、シスプラチン投与日またはその前に六君子湯を投与した成人悪性腫瘍患者(六君子湯投与群)と投与しなかった患者(対照群)を比較した。シスプラチン投与後2日目と3日目、および4日目以降の制吐剤をCINVの代用アウトカムとして用いた。患者背景は治療の安定化逆確率重み付けを用いて調整し、転帰は単変量回帰モデルを用いて比較した。

【結果】六君子湯群では669例、対照群では123,378例が同定された。シスプラチンをベースとした化学療法の2日目と3日目に5-HT3受容体拮抗薬を静注した患者は、六君子湯群では有意に少なかった(オッズ比、0.38;95%信頼区間、0.16-0.87;p=0.023)。

【結論】シスプラチン投与2日目以降における制吐剤の使用が減少したことから、CINVの症状を緩和する上で六君子湯が有益であることが示唆された。

PMID: 37495535 Impact Factor 1.2