Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

腸間膜静脈硬化症患者が使用した山梔子の総投与量

doi.org

【背景】腸間膜静脈硬化症(MP)は腸間膜静脈の線維性変化や石灰化を特徴とする疾患である。近年、漢方薬の使用に関連したMPの症例報告が増加している。その原因として山梔子の長期摂取が疑われている。しかし、山梔子使用者の多くは本疾患を発症しておらず、山梔子とMPの関連は不明のままである。本研究では、MPを発症した患者と発症していない患者の山梔子の使用量を初めて調査した。

【方法】山梔子とMPの関連を評価するために、カルテレビュー研究デザインを用いた。山梔子を含む漢方薬の摂取歴のある患者を対象とした。これらの患者のうち、大腸内視鏡検査と腹部CT検査を受けた患者を抽出した。大腸内視鏡検査、CT検査、組織学的検査の所見を調査した。MP患者と非MP患者を比較するために、外来受診期間、山梔子を含む漢方薬の投与期間、持病とともに山梔子の総投与量を評価した。

【結果】MP症例10例と非MP症例42例を解析した。MP症例の臨床所見をまとめた。すべてのMP症例で、非MP症例よりも山梔子の使用量が多く、累積投与量は約5,000g以上であった。

【結論】本研究は、山梔子の過剰摂取がMPの発症に寄与すること、および/またはMPの発症を促進することを示し、過剰量の山梔子の長期使用がMPのリスクを高めることを示唆した。

PMID: 27402114 PMCID: PMC4940942 Impact Factor: 3.9