Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

軽度から中等度の新型コロナウイルス感染症患者に対する葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の有用性:多施設共同無作為化比較試験の更なる解析結果

DOI: 10.1016/j.jiac.2023.07.013

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

我々は以前、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象とした無作為化比較試験において、従来の治療に葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を併用することで症状緩和が認められたことを報告した。さらに、漢方薬の効果をより明確にするため、再発を伴わない症状消失に着目した事後解析を行った。軽度および中等度のCOVID-19患者を、対症療法を行う対照群と、対症療法に加えて葛根湯(2.5g)と小柴胡湯加桔梗石膏(2.5g)を1日3回投与する漢方群に無作為に割り付けた。161例(漢方群 n=81、対照群 n=80)のデータは、症状が消失するまでの時間について事後分析された。症状の消失に関するKaplan-MeierおよびCox比例ハザード推定では、統計学的に有意ではないものの、本研究で対象としたすべての症状および各症状の消失が、対照群よりも漢方群の方が早いことが示された(全症状例;ハザード比[HR]3.73、95%信頼区間[CI]0.46-29.98、log-rank p=0.1763)。共変量調整と競合リスク分析を用いた補足評価では、発熱は漢方群では対照群よりも早く消失した(全症候性症例、HR 1.62、95%CI 0.99-2.64、p=0.0557;ワクチン未接種症例、HR 1. 68、95%CI 1.00-2.83、p=0.0498)、息切れは対照群より漢方群で有意に早く消失した(全症候性例、HR 1.92、95%CI 1.07-3.42、p=0.0278;ワクチン未接種例、HR 2.15、95%CI 1.17-3.96、p=0.0141)。これらの結果は、急性COVID-19に対する漢方治療の利点を示している。