Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

漢方専門外来における未診断腸間膜静脈硬化症の臨床的検索

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【目的】腸間膜静脈硬化症(mesenteric phlebosclerosis:MP)は腸間膜静脈の石灰化を特徴とする疾患で、慢性腸間膜虚血を引き起こす。近年、山梔子の長期摂取が原因として注目されている。通常、進行した重症のMP症例のみが報告される。しかし、われわれは、この疾患の潜在的な症例が存在するのではないかと考えた。そこで、漢方外来において、大腸内視鏡検査による大腸のわずかな色調変化などの初期変化に着目し、診断前症例を検討した。

【方法】山梔子を含む漢方薬の長期服用歴のある患者に対して、大腸内視鏡検査とコンピュータ断層撮影(CT)検査を推奨した。2013年12月から2014年11月まで、患者の同意を得て臨床検査を実施した。

【結果】山梔子を長期摂取した103例のうち、29例がMPの検査に同意した。14例が大腸内視鏡検査を受けた。組織学的検査で大腸膜に線維性沈着が認められたため、4例がMPであることが確認された。21例が腹部CT検査を受けた。CTスキャンで腸間膜静脈の特徴的な石灰化が2例で観察された。MP患者4例全員が山梔子を含む漢方処方を6.8年以上服用していた。他の患者は、山梔子を長期間摂取していたにもかかわらず、MPを発症しなかった。

【結論】我々は潜在的なMP症例と未診断のMP症例を検出した。すべての診断は、大腸内視鏡検査とCT検査のわずかな変化にも注意を払いながら行われた。

PMID: 26984071