Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

穿孔性虫垂炎に対する腹腔鏡手術後の大建中湯の有効性

DOI: 10.1111/ped.15548

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

【背景】近年、漢方薬である大建中湯の術後消化管機能に対する有効性が多くの研究で科学的に検証されているが、小児に対する有効性は確立されていない。我々は、腹腔鏡下虫垂切除術を受けた穿孔性虫垂炎に伴う汎腹膜炎(PaPA)の小児患者を対象に、大建中湯の効果をレトロスペクティブに評価した。

【方法】2012年5月から2021年5月までに腹腔鏡下虫垂切除術を受けたPaPA患児34例のうち、大建中湯を投与されたのは19例(D群)、投与されなかったのは12例(C群)であった。術後の消化管機能、合併症、炎症反応の改善を両群間で比較した。

【結果】術後胃腸機能の評価項目のうち、最初の排便までの時間の平均±標準偏差は、C群よりD群で有意に短かった(それぞれ1.21±0.42日、2.17±0.94日;p=0.0005)。半食事摂取までの期間もC群よりD群で有意に短かった(それぞれ8.42±3.69日と12.50±4.96日;p=0.01)。合併症発生率については、両群間に有意差はなかった。

【結論】大建中湯は、小児PaPA患者の術後消化器症状を迅速かつ安全に改善した。我々の知る限り、これは腹腔鏡下虫垂切除術における術後症状に対する大建中湯の効果を、小児を対象として評価した初めての研究である。

Impact Factor: 1.4