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漢方薬の代替医療からの脱出

幽門部温存膵頭十二指腸切除術を受けた患者において、六君子湯は消化管およびインクレチンホルモンレベルを増強することにより食欲を増加させる: 後方視的研究

doi.org

【背景】六君子湯はアシル化グレリンの増加により胃腸障害を緩和する。

【目的】膵臓手術を受ける患者における六君子湯の効果を調べる。

【方法】幽門温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)を受けた患者41名を2群に分け、術後または術後21日目以降に六君子湯を連日投与した。アシル化および脱アシル化グレリン、コレシストキニン(CCK)、ペプチドYY(PYY)、胃抑制ペプチド(GIP)、活性型グルカゴン様ペプチド(GLP)-1の血漿中濃度を評価した。経口摂取カロリーは両群とも術後21日で評価した。本研究の主要評価項目は、PpPD後の総食事摂取量とした。

【結果】術後21日においてアシル化グレリン濃度は六君子湯投与群で非投与群に比べ有意に高く、経口摂取量は六君子湯投与群で有意に増加した。CCKとPYYの値は、六君子湯を投与した患者で投与していない患者より有意に大きかった。さらに、GIPおよび活性型GLP-1値は上昇し、術後21日における値は六君子湯を投与した患者で六君子湯を投与していない患者よりも有意に大きかった。インスリン分泌は六君子湯投与群で増加する傾向がみられた。

【結論】六君子湯は、膵臓手術後早期の患者の経口食物摂取に有利である可能性がある。インクレチンホルモンに対する六君子湯の影響を明らかにするためには、さらなる調査が必要である。

 Impact Factor: 2.505 PMID: 37342846 PMCID: PMC10277958