Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

漢方薬(黄連解毒湯顆粒)の火病患者における身体症状および不眠症に対する効果: 無作為化比較試験

DOI: 10.1016/j.imr.2020.100453

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

【背景】代表的な「清熱」生薬からなる黄連解毒湯顆粒が火病に用いられてきた。火病は韓国の文化に縛られた症候群であり、抑圧された怒りから生じる胸部鬱血や熱感などの明瞭な身体症状を特徴とする。我々は、火病患者における黄連解毒湯の効果を調べた。

【方法】火病患者44例をリクルートし、黄連解毒湯またはプラセボ顆粒を1日3回、7日間経口投与した。2つの主要評価項目は、身体症状(Patient Health Questionnaire of physical symptoms:PHQ-15)と不眠症(Insomnia Severity Index:ISI)であった。

【結果】2017年7月10日から10月31日の間に、44例の火病患者(平均年齢36.68歳;女性38名)を黄連解毒湯群(n=22名)とプラセボ群(n=22名)に無作為に割り付けた。黄連解毒湯またはプラセボ顆粒を7日間投与した後、治療後のISIスコアはプラセボ群に比べ黄連解毒湯群で低かった(調整平均差-2.56[95%CI -4.72~-0.39]、p=0.0208)。一方、治療後のPHQ-15スコアには黄連解毒湯群とプラセボ群との間に差はなかった(調整平均差-0.50[95%CI:-3.02-4.02]、p=0.7812)。

【結論】本研究の結果から、黄連解毒湯顆粒は火病患者の不眠症を改善する可能性が示唆された。しかし、火病患者の身体症状全般に対するHJD顆粒の効果は不明であり、さらなる研究が必要である。

臨床試験登録】臨床研究情報サービス KCT0002379

PMCID: PMC7591736 CiteScore: 5 Impact Factor: 4.473