Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

軽度および中等度の新型コロナウイルス感染症患者を対象とした、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の多施設無作為化比較試験

doi.org

漢方薬である葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏には、抗ウイルス作用と抗炎症作用がある。この無作為化試験では、軽度および中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を、解熱剤や鎮咳剤などの従来の症状緩和治療を受ける対照群と、通常の治療に加えて葛根湯(2.5 g)および小柴胡湯加桔梗石膏(2.5g)の混合エキス顆粒を1日3回、14日間投与する漢方群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、症状が完全に緩和するまでの日数とした。副次評価項目は、各症状が緩和するまでの日数と、疾患が呼吸不全に進行したかどうかとした。合計161例を登録した(漢方群、n=81;対照群、n=80)。症状緩和のカプラン・マイヤー推定の結果は、群間に有意差がないことを示した。しかし、競合リスクを考慮した共変量調整された解熱累積発生率は、対照群よりも漢方群の方が有意に回復が早かったことを示した(HR 1.76、95%CI 1.03-3.01)。さらに、COVID-19を緩和する酸素吸入を必要とする疾患進行のリスクは、対照群よりも漢方群の方が低かった(リスク差-0.13、95%CI -0.27–0.01)。重大な薬物関連の副作用は観察されなかった。葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏は、新型コロナウイルス感染症患者の解熱と病勢進行抑制に効果がある。

臨床試験登録:https://jrct.niph.go.jp/en-latest-detail/jRCTs021200020、識別子[jRCTs021200020]

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