Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

人参養栄湯の産後貧血治療および産後うつ病予防のための準無作為対照試験

DOI: 10.1111/jog.15378

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】産後貧血および産後うつ病(PPD)の発症に対する人参養栄湯の効果を研究すること。

【方法】この前向き、単一施設、非盲検、準無作為対照試験では、出産後1~2日で貧血の患者を無作為に割り付け、人参養栄湯または経口鉄剤を4週間投与した。主要評価項目はヘモグロビン(Hb)値とした。副次的評価項目は、疲労(数値評価尺度[NRS]で評価)と産後うつ症状の有病率で、エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)スコア≥9で定義した。Hb値と疲労を治療前と治療後4週間で測定し、EPDSを治療後4週間で測定した。

【結果】1066例の(人参養栄湯群:532、鉄剤群:534)のうち、1061例(人参養栄湯群:529、鉄剤群:532)が完全な解析を受けた。Hb値は両群で有意に上昇し(p<0.001)、Hb値の変化に関して群間に有意差はなかった(人参養栄湯:2.4±0.8g/dL vs. 鉄剤群:2.5±0.7g/dL 、p=0.098)。疲労は人参養栄湯群で有意に減少したが(p<0.001)、鉄剤群では変化せず、その差は有意であった(p<0.001)。産後うつ症状の有病率に関して、2群間に有意差が認められた(人参養栄湯群:5.7% vs. 鉄剤群:9.4%、オッズ比[OR]=0.58、95%信頼区間[CI]=0.36-0.93)。

【結論】結果は、人参養栄湯が産後の貧血と疲労を改善し、PPDの発症を予防できる可能性があることを示唆している。

Impact Factor: 1.697