Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

軽度から中等度の COVID-19 に対する従来治療と漢方治療:日本における流行性疾患の統合管理による多施設後ろ向き観察研究

doi.org

【目的】2020年1月1日から2021年10月31日までの間に新型コロナウイルス感染症2019(COVID-19)が疑われる、または確認された患者を、この多施設後ろ向き観察研究に日本の病院から登録した。

【方法】治療内容(従来治療と漢方薬を含む)、風邪様症状(発熱、咳、痰、呼吸困難、疲労、下痢など)の変化をカルテから収集した。主要評価項目は、発熱のない日数(体温が37°C未満)とした。副次評価項目は、酸素吸入を必要とする状態の存在として定義した、症状の緩和と病気の悪化とした。漢方薬を使用した場合と使用しない場合の治療成績を比較した。962例を登録し、そのうち528例が従来の治療と漢方治療を受け(漢方群)、434例が従来の治療のみを受けた(非漢方群)。

【結果】全体として、COVID-19の病期分類と危険因子を調整した後、症状や無熱の日数に群間で有意差はなかった。傾向スコアマッチングを実施し、含まれる症例をステロイド投与を受けず、発症から4日以内に治療を開始したCOVID-19と診断された患者に限定すると、病気の悪化のリスクは漢方群で非投与群よりも有意に低かった(オッズ比=0.113、95%信頼区間:0.014-0.928、p=0.0424)。

【結論】早期の漢方治療は、ステロイドを使用していないCOVID-19症例の病状悪化リスクを抑える可能性がある。COVID-19に対する漢方薬の臨床的利益を確認するには、さらなる無作為化比較研究が必要である。

PMID: 36328579