Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

新型コロナウイルス感染症罹患後症状による全身疲労に対する漢方薬の応用

doi.org

COVID-19 の急性期の治療に関するエビデンスは蓄積されているが、新型コロナウイルス感染症罹患後症状に対する具体的な治療法はまだ確立されていない。漢方薬による治療は、新型コロナウイルス感染症罹患後症状の治療オプションの 1 つかもしれないが、漢方薬の有効性に関する研究はほとんどない。本研究の目的は、漢方薬新型コロナウイルス感染症罹患後症状による全身疲労に対する処方パターンを明らかにすることだった。2021年2月から2021年12月の期間に岡山大学病院に設置された COVID-19 アフターケアクリニックを受診した患者を対象に、全身倦怠感と漢方薬の処方に伴う症状に焦点を当てた後ろ向き記述研究を実施した。195例のカルテから得られた臨床データのうち、全身疲労とそれに伴う症状を有する102例の臨床データを分析した。患者の症状はさまざまで、全身疲労に伴う症状として最も多かったのは、嗅覚障害、味覚障害、頭痛、不眠症、呼吸困難、脱毛だった。漢方薬の処方は処方箋全体の24.1%(n=609)を占めた。処方された漢方薬補中益気湯が最も多く(71.6%)、他に処方された漢方薬は当帰芍薬散、苓桂朮甘湯、十全大補湯、半夏厚朴湯、葛根湯、人参養栄湯、五苓散、六君子湯、桂枝茯苓丸であった。一般に感染症後の全身疲労の病態生理は漢方医学では気虚と考えられているため、このような補剤による治療は気の補完としての主要な処方となり得る。結論として、漢方薬は全身倦怠感を伴う新型コロナウイルス感染症罹患後症状に対する主要な薬理学的治療の 1 つになり得る。

PMID: 35743993  PMCID: PMC9227280 CiteScore: 2.7  Impact Factor: 2.948