Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

骨髄増殖性腫瘍患者のQOL改善に対する補中益気湯の有効性を検討する予備的研究

doi.org

【背景】フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍の予後は比較的良好だが、疲労、かゆみ、寝汗、骨の痛み、発熱、体重減少などの骨髄増殖性腫瘍に関連する症状によって、生活の質が深刻な影響を受ける可能性がある。本研究では、漢方薬である補中益気湯を骨髄増殖性腫瘍の患者に投与し、骨髄増殖性腫瘍に関連する症状の軽減があるかどうかを調査した。

【方法】無作為化された群間の予備的研究を実施した。患者を補中益気湯投与群と非補中益気湯投与群に分けた。補中益気湯の投与前、投与後 4 週間および 8 週間後に、骨髄増殖性腫瘍症状評価フォームの総症状スコアおよび欧州がん研究治療機構の QOL アンケート-コア30 に基づく骨髄増殖性腫瘍関連症状を調べた。

【結果】分析に含まれた 42例のうち、21例が補中益気湯群に割り当てられ、21例が対照群に割り当てられた。補中益気湯投与後、補中益気湯群の4週目と8週目の骨髄増殖性腫瘍症状評価フォームの合計症状スコアの中央値は減少傾向を示した。 ただし、2群間の差は有意ではなかった。

【結論】本研究では、骨髄増殖性腫瘍関連症状の治療における補中益気湯の有効性に関して、補中益気湯と対照群との間に有意差を示すことはできなかった。しかし、補中益気湯群で顕著な症状改善を示した症例もあった。報告された唯一の有害事象は、グレード1の肝機能障害だった。したがって、補中益気湯は、骨髄増殖性腫瘍に関連した症状により生活の質が著しく低下している患者の治療選択肢となる可能性がある。

PMID: 35575284 Impact Factor: 2.925