Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

新型コロナウイルス感染症クラスター感染後の医療従事者の臨床的・疫学的特徴と漢方製剤の補中益気湯・葛根湯の効果:後ろ向きコホート研究

journals.lww.com

2019年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行において、漢方製剤のような低毒性の天然化合物がCOVID-19の予防効果を発揮することが期待されている。代表的な漢方薬である補中益気湯、葛根湯の生物学的特性と安全性は、さまざまな動物モデル実験や臨床研究で確認されていて、いくつかのヒトでの研究では、さまざまな感染症に対して、毒性がほとんどなく生物学的効果をもたらすことが確認されているが、補中益気湯と葛根湯がCOVID-19予防に安全で効果的かどうかは不明である。我々は、医療従事者の臨床的特徴と補中益気湯と葛根湯の予防効果をまとめた。COVID-19 クラスター感染の病歴のある病院で、合計 217例の医療従事者(年齢 21~77 歳)のうち 175例を対象とした後ろ向き単一施設のコホート研究を実施した。合計で 175例の医療従事者が、重症急性呼吸器コロナウイルス 2 (SARS-CoV-2)抗体の検査を受けた。COVID-19 と診断された 27例(年齢の中央値:49 ± 10.7歳)を特定した。BMIが25以上の群はCOVID-19感染リスクが高く、漢方服薬遵守率が40%以上の群はCOVID-19リスクが低かった。服薬遵守率が40%以上のグループの患者は、現在アルコールを摂取しているグループの患者と同様に、重度のCOVID-19を発症するリスクが低かった。結論として、補中益気湯と葛根湯は COVID-19 の発症または悪化を予防した可能性があり、臨床的に使用できる可能性がある。肥満は、COVID-19 に対する患者の感受性と疾患の重症度を高めた可能性がある。

PMID: 35839019 Impact Factor: 1.889