漢方薬は新型コロナウイルス感染症関連の嗅覚障害からの早期回復を促進する:遡及的観察研究
【背景】嗅覚障害は、新型コロナウイルス感染症患者によく見られる症状であり、患者の生活の質を著しく低下させる。効果的な治療法は不明のままである。
【目的】新型コロナウイルス感染症関連の嗅覚障害に対する漢方薬の効果を評価すること。
【研究デザイン】遡及的観察研究。
【方法】2020年10月から2021年3月まで、新型コロナウイルス感染症と重度の嗅覚障害または無嗅覚症(数値評価尺度、7以上)の18歳以上の87例が宮城県の隔離施設に登録された。治療法に基づき、漢方群(N=52)と対照群(N=35)に割り当てられた。Numerical Rating Scaleスコアの変化は、初診時と2週間後に評価された。
【結果】初診から1週間後と2週間後の両方での嗅覚障害スコアの中央値の減少は、対照群(それぞれ3と7;p=0.04)よりも漢方群(それぞれ6と8;p=0.03)で有意に大きかった。嗅覚障害の改善は、嗅覚障害スコアの中央値の減少が5以上であると定義した。多重ロジスティック回帰分析では、漢方治療のみが嗅覚障害の改善と有意に関連していることを示した。
【結論】この研究では、漢方薬が新型コロナウイルス感染症関連の嗅覚障害からの早期回復を促進することを示唆している。
CiteScore: 6.2 Impact Factor: 5.810