Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

2018年の日本での洪水により、高齢者への抑肝散処方の頻度が増加した:後ろ向きコホート研究

doi.org

【目的】2018年に日本で発生した洪水が、抑肝散の処方に与える影響を評価した。

【方法】これは、日本で発行されたすべての処方箋を対象とする全国健康保険請求データベースに基づく後ろ向きコホート研究である。震災の前後1年の間に、最も深刻な被害を受けた3都道府県にある医療機関で医療を受けた65歳以上の患者を登録した。震災前1年間、漢方薬を処方されていなかった人のうち、抑肝散などの漢方薬の新規処方数を分析した。カプランマイヤー分析とコックス比例ハザードモデルを使用して、災害に対して新規処方のリスクを評価した。

【結果】被験者は1,372,417人(被災者12,787人、0.93%を含む)で構成された。災害による抑肝散処方のハザード比(HR)は、原モデルと年齢別調整モデルで、それぞれ1.49 [95%信頼区間(CI):1.25–1.78]と1.54[95%CI:1.29–1.84]だった。原モデルと年齢別調整モデルモデルにおける災害による他の漢方薬の処方のHRは、それぞれ1.33[95%CI:1.27–1.39]および1.32[95%CI:1.27–1.38]だった。抑肝散を処方された被災者の増加の大きさ(31.4%)は、他の漢方薬を処方された被災者(19.3%)よりも統計的に高かった(p<0.001)。

【結論】災害により、高齢者の被災者の間で抑肝散と他の漢方薬の両方の処方が増加した。抑肝散の増加は、他の漢方薬よりも顕著だった。臨床医と政策立案者は、自然災害時に抑肝散の必要性が高まっていることを認識しておく必要がある。

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